Nielsen Digital

顧客向けデータレポートサービスにTableauを導入


探索的なデータ分析作業を短時間で、容易に行える

データからファインディングスを得やすい分析環境を提供

インターネットを中心に消費者のデジタルデータを収集することで、消費者の動向を明らかにし続けているニールセン デジタル株式会社。インターネット視聴率データは「Nielsen NetView」、モバイルの視聴率データは「Nielsen Mobile NetView」というサービスでレポート化し、顧客に提供しています。日本でも数多くの企業のマーケターやメディアプランナーが、これらのサービスを活用した消費者分析を行っています。

「従来はこれらを、自社で構築したWeb サービスとして提供していました」と語るのは、ニールセン デジタル セールス&アナリティクスでカスタム アナリティクス アソシエイトディレクターを務める中川 勝文氏。そして従来のサービスには、ユーザーインターフェースに関して大きく3 つの課題があったと言います。

第1 はビジュアライゼーション。従来のサービスはレポートを数表の形で表示しており、チャートを使った分析画面が少なかったため、利用者の多くはレポートをCSV 等の形でエクスポートし、Excel などを使って分析していました。第2 はレスポンススピード。レポートを作成するまでに、複雑でデータ量の多いものだと時間がかかるケースがありました。そして第3 がインタラクティブ性です。膨大なデータに対応するためにメニューが階層構造になっており、データの切り口を替えたレポートを作成したい場合には、複数の作業ステップ画面を経由するケースがありました。

「そのため探索的なデータ分析をスピーディに行うことが困難でした。当社のデータ品質は第三者機関としての代表性・透明性といった点でお客様から高いご評価をいただいておりますが、それを使いこなすにはそれなりの手順が必要という状況だったのです。また直感的に理解できる画面が限られていることで、ユーザー層もデータ分析に慣れたリサーチャー、マーケティングの専門家が中心でした」。

探索的なデータ分析作業を短時間で、容易に行えるようになりました。純粋な「作業の時間」が減ったことで、洞察に使う時間を確保しやすくなった結果、データからファインディングスを得やすい分析環境をお客様に提供できるようになりました

Tableau: Tableau の導入・運用環境について教えてください。
中川氏: これらの課題を解決するための手段として、着目したのがTableau でした。そのきっかけとなったのは2017 年頃、複数の営業担当者と交わした会話からです。訪問した客先で、エクスポートしたレポートをTableau で分析しているのを見た営業担当者が「すごいものを見た」と語るのを聞き、当社のサービスにTableau を組み込むのはどうだろうかと考えました。特定の条件で整理されたレポートのデータではなく、その大本になる生データをTableau で分析できれば、より多様な分析が可能になると直感したのです。

また2017 年12 月には、レポートをTableau で提供してほしいという商談も発生。これに対応するため、2018 年2 月に社内でTableau を小規模導入し、顧客向けデータレポートで利用できるか否かの検証が進められていきました。そして2018 年4 月には、Tableau を活用したインタラクティブなレポートの納品を実現しました。

この成功を機に「Nielsen NetView」「Nielsen Mobile NetView」へのTableau 導入を正式決定。2018 年5 月には「ネット視聴率データをTableau を介して提供開始」のプレスリリースも行っています。その後、データソースの整備やワークブックの作成、オペレーション基盤の構築など、Tableau の本格提供に向けた準備を推進。2019 年3 月にTableau Cloud によるサービス提供を開始しています。

Tableau: 今回のプロジェクトで Tableau を選定した理由を教えてください。
中川氏: Tableau の選定で重要な役割を果たしたのは、導入決定前の顧客調査でした。同社のサービスを利用している顧客を対象に、エクスポートしたレポートの分析ツールを調べた結果、Tableau を利用している企業の割合が最も多かったのです。
また世界中に数多くのユーザーがいるため、インターネットで関連情報を集めやすいことも、大きなメリットだと評価しています。検索すればユーザーの試行錯誤の事例を多数見つけることができるため、壁にぶつかったときにも乗り越えやすいと判断しました。

さらに、機能改善の開発速度が早いことも重視されました。現時点ではできないこと、あるいは実施が難しいことでも、近い将来には可能になると期待しています。

Tableau: Tableau の導入効果を教えてください。
中川氏: Tableau の導入によって、前述の3 つの課題は以下のように解決されました。1 つ目は、ビジュアライゼーションです。数表だけではなく、動的で効果的な複数のチャートを提供できるようになりました。これによってレポート内容を、直感的に理解しやすくなっています。

2 つ目は、レスポンススピードです。レポートの描画速度が向上し、作業の待ち時間が大幅に短縮されたことで、ユーザーの作業ストレスも軽減しています。

3 つ目は、インタラクティブ性です。デモグラフィック情報などのデータ区分を、同一画面で簡単に切り替えられるようになりました。これによって探索的なデータ分析を簡単かつスピーディに行うことが可能になり、データから新たな知見を発見し易い環境がより整備されました。

これらの改善はお客様から高く評価されており、数多くのポジティブなフィードバックをいただいています。また「Tableau ならこのようなこともできるのでは?」といった問い合わせや、追加機能の要望も数多く寄せられています。

ユーザーの利用頻度も向上しています。従来は定例レポートのため特定の時期にデータをエクスポートするといった使い方が主流でしたが、Tableau 導入後は日常的に使うユーザーが増えています。理解しやすいチャートが短時間で得られるため、ちょっとしたデータ確認も手軽に行えるからです。

理解しやすいチャートの提供は、ユーザー層の拡大にも貢献しています。ブランディングやマーケティングの担当者だけではなく、営業担当者にも利用してもらうため、契約ライセンス数が一気に増大したケースもあります。

Tableau: 今後の展開について教えてください。
中川氏: すでにお客様から数多くのご要望をいただいているので、まずはこれらへの対応を着実に進めていき、サービス内容をより充実させたいと考えています。多くの顧客に共通する要望に対応する一方で、2019 年6 月からは個別要望にも対応し始めています。このような対応はお客様からも喜ばれており、「新機能に感動した」「これなら社内展開もしやすい」といった声も頂戴しています。

現在は従来型のWeb サービスとTableau が混在していますが、今後はTableau によるレポート提供に一本化していく計画です。また「Nielsen NetView」「Nielsen Mobile NetView」以外のサービスでTableauを活用することも検討。これによってより使いやすいサービス提供が可能になると期待しています。